溺愛王子とヒミツな同居
「ううん、大丈夫。少しびっくりしただけだから。
大翔君は何も悪くないのに、さっきからずっと謝ってばっかりなんだもん」
まだドキドキと高鳴ってる鼓動を抑えながら、笑顔を向ける。
大翔君を近くに感じるだけで、不安も何もかもなくなっちゃうなんて、私って単純。
「お前の様子がおかしかったから……心配だったんだよ」
少し言い辛そうにして、そっぽを向く大翔君はちょっと照れてるようにも見えた。
「ただ……寂しかっただけなの……」
「え?」
小さく呟き落とした声は、大翔君の耳に届く前に消えて行った。
「何でもない。遅くなっちゃったね。帰ろっか」
「……? ああ……」
この日、私が寂しいと感じた感情は後日、栞によってヤキモチの一種だと知ることになる。