溺愛王子とヒミツな同居
「暇だったからヒロと遊ぼうと思ってさ。
そしたら、2人揃って仲良くまりやの家から出てくるじゃん。
俺の方がびっくりしたっての」
出てきたところを見られてたなんて、一緒に住んでるってことはバレてないといいんだけど……。
「今から出掛けるから、まりやを迎えにきただけだよ。
せっかくで悪いけど、俺は予定あるから」
「予定って、まりやと出掛けることでしょ? それなら1人増えても問題ないってことだね。
あ、俺のことは気にしないで。勝手についていくから」
「なんでそういうことになんの。俺は予定あるって言っただろ。
お前に構ってる暇ないの。だから、あきらめて帰れ」
大翔君の顔に苛立ちがハッキリと見える。
でも、大翔君が怒るのもよくわかる。
いきなり訪ねてきて、許可もなく一緒に出掛けたいなんて、大翔君じゃなくても怒るのは当たり前だよ。
「だから、誰も一緒に行くなんて言ってないでしょ。
勝手についていくだけだからって言ったじゃん」
ニィ……と怪しく笑うと、ついていくと言いながら先頭を切って歩き出してしまった谷山君。
「あいつ……一体何考えて……」
相手にしてもしょうがないと谷山君と距離を空けて、私たちも歩き出した。