溺愛王子とヒミツな同居



不意打ちでドキドキさせられながら、動物園に到着した。



順番に回ろうということになり、猿の群れやライオン、ホッキョクグマを見たあと、サイやウサギ、キリンがいる場所までやってきた。



「キリン可愛いね。首ながーい! あ、見て見て! 向こうにゾウがいるよ!」



園内に入ると、大翔君はゆっくりと歩いていたけど、私1人だけが興奮して繋がれた手をグイグイ引っ張って進んでいた。



「まりやそんな急がなくても動物は逃げないから大丈夫だって」



言われて周りを見ると、小さい子に混じって大きい私が目を輝かせているのに気付いて、急に恥ずかしくなる。



「どうした? 急に大人しくなって」



顔を覗きこんできた大翔君にチラッと目を向ける。



「だって、何か恥ずかしくなって……」



もごもご言うと、クスクス笑いだして、ポンッと頭の上に手が乗せられる。



「いいんじゃない。無邪気で、お前らしいよ」



大翔君の視線の先には芸を披露するゾウがいるのに、その目は優しく細められていて、とても嬉しそうに見えた。



楽しんでくれてるのかな……。



そうだったら、嬉しい。



その後も押さえ気味にはするようにしたけど、クジャクが羽を広げたところを見られて大興奮。



可愛いコアラにも癒されて、記念になるからと動物園内にあるスタンプ巡りなんかもしながら楽しい時間を過ごした。


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