溺愛王子とヒミツな同居
一通り見て回ったあとは、ランチタイム。
動物園の隣にある大きな公園に移動して、大翔君が早起きして作ってくれた美味しそうなお弁当が広げられる。
「わぁ! 美味しそう! 私の好きなものばっかり」
色とりどりに綺麗に盛り付けられてるおかずに箸をつけるのがもったいなさすぎて、暫く鑑賞が続いた。
「まりや、見すぎ。そんな特別なもんは入れてないけど」
「大翔君が作ってくれるものなら、全部が特別だよ。もったいないけど、いただきます!」
手を合わせて、唐揚げを一つ口に入れた瞬間、あまりの美味しさに頬が綻んだ。
「へぇ〜! 美味そう! 俺も食べていい?」
どこから出てきたのか、今まで姿さえ見られなかった谷山君がひょっこりと現れて、目を丸くする。
「祥吾……。お前こんなとこまでついてきて、一体どういうつもりなんだよ」
またしても、いきなり現れた谷山君に嫌そうな表情を返す大翔君。
楽しかった気分が一気に下がってしまった。
勝手についてくるとは言ってたけど、まさか本当に来るなんて……。
「ほんっとヒロって、まりやに対しての態度と違いすぎじゃない? ま、いいけどね。
別に俺は2人の邪魔したわけじゃないよ。ただ、こいつに動物園連れていけって命令されたからお守りしにきただけ」
こいつと指さした谷山君の横には色素の薄い黒髪が、顔の輪郭に沿って綺麗にカールした小柄な女の子がいた。