溺愛王子とヒミツな同居
「俺ねぇ……知ってるんだよね。ヒロとまりやが一緒に住んでるってこと」
思いもしなかったその言葉に、心臓がドクッと嫌な音を立てる。
「あれ? もう少し驚くかと思ったのに……面白くないなぁ。
やっぱこのネタはまりやに使うべきだったかな。あいつなら、すぐに動揺して言うこと聞いてくれそうだし」
顎に手をあてて、ブツブツ呟く祥吾に静かに近付く。
「最近やたらとタイミングよく俺やまりやの前に現れると思ってたけど……全部わざとだろ、祥吾」
気を付けてたのに、こんな厄介な奴にまりやと一緒に住んでることがバレるなんて、光にバレるより面倒だ。
「あ、バレてた? 俺が転校してきた日……ヒロの後をつけてたの気付かなかったでしょ。
俺があきらめ悪いの知ってるはずなのに、まだまだ甘いなぁ。
その後、夜遅くにまりやの家に行ったのも、ヒロが本当にいるかどうか確認するためだよ。
上手く隠れてたみたいだけど、その後も何回かヒロがまりやの家に入っていくの見てたし、これは確実だなぁって。
まぁ、そういうわけで兄貴の怒りが収まるまで、俺を2人の愛の巣に泊めてくれない?」
「……そんな証拠どこにあるんだよ」
「頷いてくれないと、2人が一緒に住んでるってこと学校のみんなにバラしちゃうけど、いいの?」
持っていたスマホをちらつかせ、俺を軽く脅してくる。
こいつが性格悪いのは知ってたけど、弱みを握られるなんて最悪だ。
だけど、俺のせいでまりやが傷つくのだけは……それだけは俺が耐えられない。
あいつのことも、あいつとの生活も俺が守る。
俺の隣にいるのは、まりや以外考えられないから。