溺愛王子とヒミツな同居
「……わかったよ。その代わり条件がある」
「さっすがヒロ! 泊めてくれるなら条件の1つや2つ何だって聞くよ」
俺が了承したことで、態度を翻した祥吾はまるで犬みたいに尻尾を振って俺の方へ寄ってきた。
「ただいま」
玄関のドアを開けると、キッチンの方から美味そうな匂いが漂ってくる。
「大翔君、お帰りなさ……っ」
浮かない顔をしながら、俺を出迎えにきたまりやが驚くのは当然だ。
俺だって、こんな奴連れてきたくなんかなかった。
「新婚みたいじゃん。
へぇ……いいねぇ、エプロン姿」
目を細めてまりやのことをまじまじ見る祥吾の額をペチッと叩いてやる。
「ジロジロ見んじゃねーよ。半径2メートル以内に近付くな……。
お前、さっき言った条件忘れてないだろうな」
「いってぇ……。少しは手加減しろよ。わかってる、忘れてないって!
何で俺の方が立場的には優位なはずなのに、ヒロのが偉そうなんだよ……」
「あ? 何か言ったか? 文句あるならいつでも帰っていいぞ。
俺はいつでも大歓迎。
追い出されたくなかったら、大人しくしてろ」
弱みを握られたからって、ハイそうですかって誰がすんなり言いなりになるかよ。