溺愛王子とヒミツな同居



「だから何だよ。もし一緒に寝てたからって、何も問題ないだろ」



サラリとそんな昼ドラのセリフみたいに冷静に言った大翔君に、谷山君はもちろん私もその場で固まった。



「はは……っ。い、いくら何でも冗談キツイって。ヒロも真顔で冗談言うんだ。

冗談じゃないにしても、それ聞いてるとまるで付き合ってるって言ってるみたい……。

は? まさか、そういうこと?」



笑っていた谷山君も、段々と真顔に変わっていき、私たち2人を交互に何度も見る。



私は何も言えずにうつむいてしまい、大翔君も特に何も言うことなく普通にコーヒーを飲んでいた。



「何も言わないってことは、当たり?
いつの間にそういうことになってんの……。

……まだ大丈夫と思って、悠長に構えてる場合じゃなかったか……。

まぁ、いいや。とりあえず、おめでとう」



まさか、あの谷山君からおめでとうを言ってもらえると思ってなかった私は、目を見開いて驚く。



いつも何を考えてるのかわからなくて、再会してからはロクに話もしてなかったのに、素直に祝福してもらえるなんて思わなかった。



小さい頃の嫌な思い出しか残ってない私にとって、彼からのこの言葉は心から嬉しかった。



もう意地悪しないって言ってたのは本当だったんだと、今なら信じられる気がしていた。



「祥吾が素直にそんな笑顔まで貼り付けて、おめでとう言うなんて気味悪いんだけど」



「ひ、大翔君……」


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