溺愛王子とヒミツな同居
「べっつに~。ただ、焦げてるなぁって見てただけなんだけど」
スプーンで掬い上げたチャーハンの具がところどころ焦げていた。
「ごめんなさい……」
肩を落として謝るまりやに、「いいけどさ」と返しながらも不満そうな顔。
「いいと思うんなら黙って食べろ。大体、人に作ってもらって文句言うなよ。
気に入らないなら自分で作って食べればいいだろ」
「え~。それは無理。だって俺、料理なんて出来ないし」
「だったら文句言わずに食え。ガキみたいに駄々こねるんじゃねーよ」
1日置きに交代で料理を頑張ってるまりやの姿を俺は知ってる。
そんな努力を知らないとは言え、文句を垂れるこいつにムカついた。
昼飯を終えて、ソファで寛いでると後片付けを済ませたまりやが迷いながらも、俺の真横から数センチ空けて隣に座る。
「なんでそんなに離れて座ってんの?」
微妙に空いた距離が気になる俺は、つい意地悪するように口に出す。
「深い意味はないけど……。恥ずかしいっていうか。
あ、あの! さっきはフォローしてくれてありがとう。
早く上手に作れるように頑張るから」
行動や言動がいちいち可愛いまりやの頭をポンポンとする。