溺愛王子とヒミツな同居
「えっと、それだけ?」
「それだけって何が? 他に何もないだろ」
「いやいや、あるでしょ~! やだなぁ、大翔君てば。
この恋愛マスター光くんの目を誤魔化そうたって、そうはいかないんだから。
それとも何か。あんだけオレが助言してあげたのに、まさか大翔……何もできなかったとか?
まさかのヘタレだったとか!?」
両手で俺に向かって指を差してくる光の手を払いのける。
勝手によく動く光の口を黙らせようと、丁度いいところに出ていたおでこをベチッと手のひらで叩いてやった。
「うるせーんだよ。あんまうるさいとお前には一生教えねーぞ」
「何かこの主従関係おかしくない?」
「文句あるなら、受けてたつけど」
にっこりと笑った俺に、寒気がするとかわざとらしい演技をして見せた光もやっと静かになる。
「付き合うことになった」
短く簡潔にそれだけを伝えると、光がプルプルと震えだし、俺の手をガシッと掴んだ。
「……え? あの、もう1回言ってもらってもいい? 突然すぎてよく聞えなかった」
瞬きを何度も繰り返し、ちゃんと聞こえてるはずなのに、微妙な反応を返される。