溺愛王子とヒミツな同居
こんなこと何度も口に出せる性格じゃない俺は、聞こえないフリ。
「ちょ……! 付き合うことになったって、あの状態からどうしてこうしてそうなったのか、1~10までちゃんともう1回言うべきところでしょ。ここは」
「てめぇ、やっぱ聞こえてんじゃねーか」
「あ……。しまった、つい口滑らせて……!」
わざとらしく急いで自分の口に手を当てた光だけど、もう遅い。
俺で少し遊ぼうとしていた光は、つまらなそうに唇を尖らせる。
「あれから大翔は何も言ってこないし、これでも心配はしてたんだよ」
「心から心配してる奴が女とイチャイチャできる図太い神経の持ち主だってことは、よーくわかってるから安心しろ」
「やだなぁ、ただ親睦を深めてただけで……って、オレの話はいいんだよ。
それにしても、大翔にも遂に彼女が出来ちゃったのかぁ」
声のトーンは寂しそうに聞こえるけど、顔がそれに伴ってない。
にんまりと笑っている光は、やたらと嬉しそうな顔をしていた。
「声と顔が合ってねーよ。なんでお前がそんな嬉しそうに笑ってんの」