溺愛王子とヒミツな同居
「だって、女の子に見向きもしなかった大翔に、彼女ができたんだよ。
しかも相手は、可愛いすぎるまりやちゃんだろ。
鉄仮面みたいで、親しい奴の前でもほとんど笑いもしなくて、オレ本当にお前の行く末を心配したこともあったんだって」
……鉄仮面って、こいつ俺のこと何だと思ってんだ。
それに行く末って、お前は俺の親父かよ。
「そっか。うん、でもさ~やっぱ嬉しいよ。自分のことのように嬉しく感じる。
お前のことずっと近くで見てきたからかな。娘を嫁に出す父親の気分ってこんな感じなんだな。
息子よ、オレに教えられることは何もない。さぁ、大空に羽ばたくんだ」
また訳のわからないことを言いだして、涙ぐみながらポンッと肩を叩かれる。
「たぶんそれ違うし。娘なんだか息子なんだかハッキリしろよ。
それに、お前みたいなのが親父だったら、間違いなく絶縁決定だから」
「細かいこと気にしすぎだし~。オレが身内だったら、毎日パラダイスだって!
でも、オレ大翔のそういうところ好きだけど」
「俺はお前のこと好きじゃないけどな」
冗談で返した俺に、光のマジでショックな顔が目に付いて、思わず吹き出しそうになる。
「嘘だよ、ばーか」
ふっと笑った俺に、光もつられて笑い出す。
「昼放課終わっちゃうから、これ以上は詳しく聞けないけど、今度詳しく教えてよ」
そう言って、自分のことのように嬉しそうに笑った光に、答える代わりに小さく作った笑みに返事を託した。