溺愛王子とヒミツな同居
はぁ~、危なかった。
朝が弱い大翔君が早起きして頑張って作ってくれたのに、落として無駄にしちゃうところだった。
お弁当が無事だったことに安堵して、落ち着いてから膝の上に置き直す。
「もう、いきなり大きな声出すからびっくりしちゃったよ」
「あ、ごめん。でもそれよりも、松っちゃんが料理できるって事実の方が驚きなんすけど」
膝の上にあるお弁当と私の顔を交互に見て、何を思ってかまた顔を近付けてきた。
な、何だろう。
栞って普段笑ってるイメージが強いせいか、真顔で見られると目力が強いから怖いっていうか。
ついつい逃げ腰気味に体を反らせると、栞の体を押し戻す。
「そ、そんなにびっくりすることかな」
聞いた私に、栞は迷わず即頷き返してくる。
「だって、考えてみなよ。見た目からして、料理やるようなタイプに見えないっしょ。
あの完璧な容姿に頭は良いわ、運動神経抜群だわ、いい性格してるわで、文句のつけ所がないってのに、それに家事までできるってどんだけだよ!?って思わない?」
確かに、私も一緒に住むまで大翔君が完璧に家事できる人だなんて思ってなかった。
初めて大翔君が作ってくれたご飯食べた時は、美味しすぎて感動したくらいだったし。