溺愛王子とヒミツな同居



バスルームから出てきても、まりやが部屋から出てきてる様子はなかった。



それに思わず溜め息が漏れた。



こんなことになった原因を作ったのは、俺……だよな。



祥吾があんなに自分の気持ちを表に出すところを初めて見た。



いつもの祥吾なら、人に心の内は見せない。



何を考えてるのか全然わからなくて、茶化してばっかりだったから。



そんなあいつが、人の目を気にもせずに、まりやに想いを伝えるなんて思いもしなかった。



あんなに祥吾にムカついてたのに、あいつが自分の想いを曝け出す姿に驚いて、何も言えなかった。



あいつの想いなんて、俺に比べれば……って心のどこかでそう思ってたのも事実で。



まりやにとって、祥吾は苦手な奴だけど、あいつの本当の気持ちを知って、祥吾に対するまりやの見方が変わったら……。



そんなことあるはずないと頭では思っても、一度芽生えた不安は簡単に消し去ることができなかった。



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