溺愛王子とヒミツな同居



その後、2日間あった連休の間も何度もまりやに声をかけようと思ったけど、一向に部屋から出てくる気配はない。



一緒の家にいるのに、まりやがいない静かな家の中は落ち着かなかった。



食事を持っていっても、部屋の前に置いてあるだけで、ほとんど手をつけてる様子はなかった。



あいつが今、何を考えてるのか……。



そんなことを自分で思うたびに、まりやを遠くに感じる。



顔を見れば、どんなことを考えてるかくらい、いつでもわかったのに。



それさえもできない今の自分を自分で嘲笑うしかできなかった。



しゃべることはできなくても、まりやの姿を見られないのがこんなにキツいなんて、8年も離れてた時の俺はどうしてたんだろうと、



自分のことなのに、それすらもわからなくなる。



そんなことが続いた連休明け、朝二度寝して起きてくると、まりやの姿はもうなかった。



でも、俺が作っておいた弁当が1つなくなっている。



それを持って行ってくれたとわかっただけで、あいつの声や顔を見られなくても、ハンパなく嬉しい気持ちが俺の中に湧き上がってきた。



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