溺愛王子とヒミツな同居
教室にいる男子半数以上が、まりやを囲んで面白がってるのが目に入ってきた。
「おい……大翔……」
「……ふざけやがって」
うつむいてて表情はよく見えないけど、何も言えずひたすら我慢するまりやの姿に、俺の中の何かがブチッと音をたててキレた。
光に乱暴に鞄を預けると、何の迷いもなくまりやの側に近付いていく。
「祥吾くんとまりやちゃんが付き合ってるなんて、知らなかったよね」
「でも、まりやちゃんから告白したって噂もあるよ? 大人しそうだけど、意外に積極的だったんだー」
耳につく高い声で、人の噂話を楽しんでする女子たちにも、吐き気がするくらいうんざりする。
「この際だから、祥吾なんかやめて、オレと付き合って下さいよ~、まりやちゃ~ん」
両手を固く握って震えながら、ひたすら耐え続けるまりやの肩に、やたらとさっきから構ってる奴が手をかけようとした。