溺愛王子とヒミツな同居
――ガンッ!!
笑い声に包まれた教室が一瞬にして静かになる。
あまりのイラつきに、近くにあった机の脚を蹴り飛ばした。
「な、何だよ……びっくりした……大翔じゃん。
なぁ、お前ら幼なじみなんだろ? この噂どう思うのか感想聞かせろよ」
まりやに触ろうとしていた奴が、俺に馴れ馴れしく話かけてくる。
「こいつに触んな。男数人が寄ってたかって、見っともないことしてんじゃねーぞ……。
お前ら……恥ずかしくないのか」
教室内にいるクラスメイト全員を睨み回して、下を向いたままのまりやの腕を掴む。
俺に気付いてやっと顔をあげたまりやの顔は、目が潤んで顔全体が熱を持ったみたいに赤くなっていた。
「……ひ……ろ……っく」
2日ぶりに聞いたまりやの声は、少し掠れていて様子がおかしい。
「松坂君、藤沢さんが告白された時、近くにいたって噂を耳にしたんだけど、本当なの?」
頬を赤く染めて、笑って話しかけてくる無神経な女。
「お前には関係ない。
人の噂して何が楽しいのか知らないけど、お前らこいつが傷ついてんのがわかんねーのか」