溺愛王子とヒミツな同居
「また熱が上がるといけないから、部屋に行くぞ」
私を横抱きにして、階段を上ろうとする大翔君に首をフルフルと振る。
「まりや……?」
「……聞いてもらいたい……ことがあるの」
まだ喉の痛みが強くて、しゃべり辛さを感じながらゆっくりと声を出す。
このままじゃ、いけないと思うから。
私のわがままを聞いてくれた大翔君は、リビングのソファに私を座らせると体を冷やさないように、生姜とはちみつ、レモンが入った温かい飲み物とひざ掛けを持ってきてくれた。
谷山君は向かい側に、大翔君は隣に座って、私が疲れないように体に寄りかからせてくれる。
それだけで、安心してちゃんと話ができそうな気がしてくるから不思議。
「まずは、大翔君に……謝らなきゃいけないの。
心配してくれてたのに、部屋に閉じこもって避けるようなことしてごめんなさい……。
風邪をひき始めて、体がだるかったし、それに……大翔君に頼らずに、自分で答えを出さなきゃいけないって思ったから」
謝る私の頭を「もう、いいよ」と言ってくれてるみたいに、優しく撫でてくれる大翔君の手にまた涙腺が緩んでくる。