溺愛王子とヒミツな同居



「まぁ、そうやってどんどんひねくれていった俺は、成長もほとんどしないまま、こんなになっちゃったわけ。
だけど、小さい頃まりやを好きだったのも本当だし、お前に会いたいから転校してきたって話も本当なんだ。

高校で再会して、まりやだって気付いた時はマジで嬉しかった。
でも、ちょっと遅かったんだよね~。

もっと俺が早く転校してきてれば、まりやとヒロの関係も少しは変わってたんじゃないかって淡い期待もした。
2人が付き合うって聞かされた時も、やっぱりなっていうあきらめと、どこかでまだ何もしてないのにあきらめたくないっていう自分がどこかにいて……。

無駄なあがきだってわかってたけど、何かしたかった。
邪魔してやろうってそんな気持ちはなかったけど、俺ってこんな性格じゃん?

だから、思ってることと反対のことばっか言って、自分で余計にややこしくしちゃってさ……。
ほんとにバカだなぁって思うよ」



目元を片手で覆って、口元に笑みを作り、まるで泣いてる自分を見られないように無理してるように思えた。



私たちにはわからない谷山君の苦しい胸の内。



自分という人間を表すのが下手で、どうしたら相手に自分が思ってることを伝えられるか常に考えてる。



でも、それが上手くできなくて、そんな自分もよくわかってるから余計にイライラしてしまって。



やっぱり、とても不器用な人。



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