溺愛王子とヒミツな同居



「みんながいる前で告白とか最悪だし、何やってんだって自分でも思ったよ。
結果的に俺がしたことは、まりやを混乱させて泣かせて、傷付けたことになるけど、お前に気持ちを伝えられたことは後悔してない。

ヒロとの約束は破っちゃったし、散々挑発するようなことばっか言ってきたけど、本当……ごめんな。
最初から勝ち目ないってわかってたのに、今日のことで2回もそのことを思い知らされたよ」



苦笑して目元にあてた手を解き、大翔君を真剣な顔で見る谷山君は、何だかスッキリした表情をしているように見える。



「今日のこと……? 俺は何もしてないけど」



心当たりがまったくないといった顔をしている大翔君は、考えるように黒目を動かして、谷山君を見つめる。



「これだから無自覚にやってくれる奴は、モテるんだよ。

クラスメイト全員の前で、倒れたまりやをお姫様抱っこして連れ去ったじゃん」



お、お姫様抱っこ……?



私……もしかして、大翔君にすごく迷惑かけちゃったんじゃ……。



倒れた間の記憶が曖昧な私は、申し訳なさと恥ずかしさでいっぱい。




「さっきだって、まりやが階段を踏み外しそうになった時も、いち早く気付いて受け止めたし。
……さすがだよ、ヒロは。

俺は見てるだけで、体なんか動かなかった。
人の目も気にせずに、大切にしてる人を守れる強さって、なかなか出せるものじゃないよ。

俺にはできないことをカッコよくやれちゃうヒロは、やっぱり……

まりやにとってのたった1人の王子様なんだよね」



えくぼを作って可愛らしく笑う谷山君のこんな笑顔は初めて見た。



こんなふうに明るく笑ってる彼にもっと早く出会えてたら、私も普通に友達になれてたのかな。



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