溺愛王子とヒミツな同居
「……何恥ずかしいこと、真顔で言ってんだ。
キャラじゃないからやめろ……」
頭上から聞こえてくる大翔君の声は、呆れてるけどとても優しく耳に入ってくる。
よかった。
私が谷山君に告白されたことで、2人の関係がぎくしゃくしたらどうしようって、ずっと悩んでたから。
ホッと胸を撫で下ろすと、だるい体を何とか起こす。
それにすぐ気付いた大翔君は、背中に手を回して私が倒れていかないように、しっかりと支えてくれた。
「俺の話は終わったし、まりやは少し横になった方がいいんじゃない?」
谷山君まで心配してくれるけど、大丈夫と首を振って答える。
谷山君がちゃんと自分なりの答えを出したんだから、私もちゃんと応えなきゃいけないって、そう思うから。
「……私、ずっと谷山君が苦手だった。
小さい頃から意地悪されて、嫌われてるって思ってたから。
でも、今の話聞いて私が思ってた人と全然違うんだってことがわかっただけでも、よかったって思えるよ。
きっと、大翔君も同じことを思ってくれてる。
谷山君ね、中学の時に大翔君に寄ってきてた女の子たちをわざと遠ざけてたんだよ。
大翔君が困ってるの知ってて、自分も何かできないかって……誤解されやすいけど、優しい人なんだよね」
大翔君には言わないでって言われたけど、ちゃんと谷山君の知らない部分を大翔君にも知ってほしい。
きっと大翔君なら、わかってくれるはずだから。