溺愛王子とヒミツな同居



「1回しか会ったことないのに、覚えてるわけねーって」



私の答えを待っていた、ミルキーブラウンの髪をした男の子にもう一度釘を刺す彼。



すかさず答え返した。



「あの、私覚えてます。

1年前に会ったこと」



ヒロトと呼ばれた彼が今度は目を見開いた。



改めて間近で見ると、本当にカッコイイんだということがわかる。



「マジ!? じゃ、オレのことは?」



ミルキーブラウンの髪の男の子に期待に満ちた目を向けられて、視線をさまよわせる。



え……っと……、見たことあると思うんだけど……。



「ほら見ろ。日頃の行いが悪いから覚えてもらえないんだよ」



ヒロト君の言葉に脱力して肩を落とすミルキーブラウンの髪の男の子に、申し訳なさが募ってくる。



「ごめんなさい」



謝る私に向かって曖昧に笑った彼は、



「気にしないで」と笑ってくれた。


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