溺愛王子とヒミツな同居



バカな奴……と、心の中で思いながら、見られていることに気付き、ふいに視線を上げる。



驚いた顔をしたまりやに声をかけようとしたら、光に遮られた。



「えっ。もしかして、大翔のこと覚えてんの!?」



デカい声で聞き返した光に、まりやはまた黙り込んだ。



目立つこいつを覚えてないんだから、当然俺のことも覚えてるわけないと思っていた。



「1回しか会ってないのに、覚えてるわけねーって」



意外に粘る光に、あきらめろと言いかけた、その時。



「あの、私覚えてます。

1年前に会ったこと」



そんな声に、今度は俺が驚いた。



まさかと思ったけど、ハッキリとした声でそう告げた。



1年前に1回会っただけなのに、俺のことを覚えてるなんて思いもしなかったから。



「マジ!? じゃ、オレのことは?」



目を輝かせる光は、思わず身を乗り出した。



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