溺愛王子とヒミツな同居
その行動に更に困ったまりやは、視線をさまよわせている。
「ほら見ろ。日頃の行いが悪いから覚えてもらえないんだよ」
大袈裟にリアクションする光は、肩を落としてうな垂れていた。
普段から女にヘラヘラしてるからだ。
たまにはいい薬だろ。
「ごめんなさい」
落ち込む光を気にしてか、小さな声が頭上から降ってきた。
変わらない素直さに、小さな頃のまりやが重なった。
「その子が覚えてないのも無理ないって」
ふ……っと笑みを漏らしそうになった時、元気な声が割って入ってきた。
俺と光の後ろの席に座っていた女子がまりやの隣に立つ。
「君は?」
こんな時でも、素早くどんな女にも反応する光は、やっぱレーダーが付いてるとしか思えない。
「あたしは、この子の親友の米倉栞。よろしく!」
ニカッと元気に笑った米倉に、1年前の記憶が蘇る。