溺愛王子とヒミツな同居
引っ越すまで、まりやが俺のことを大くんと呼んでいたことを思いだした。
小さい頃は、不思議にも思わなかったな……。
まりやに大くんって呼ばれるのは、嫌いじゃなかったし。
でも、今考えるとなんでまりやは、俺のことを違う名前で呼んでたんだ?
まさか、名前を知らなかったなんてことないよな……。
「え? ヒロ君って……誰?
だって、おばさんの息子さんは、大くんじゃ……」
耳を疑った。
どういうことだよ。
大くんは覚えてるのに、俺の名前は知らない?
やっぱり、まりやは俺のこと覚えてないのか……。
そんな疑問が浮かんだけど、すぐにその答えが母さんによって明かされた。
「やっだぁ~! すっかり忘れてたわ!
そう言えば、まりやちゃん昔からヒロトのことを大くんって呼んでたわ!
漢字を覚えたての頃に、ヒロトの名前を見て
「どうして大がつくの?これはヒロ君じゃなくて、ダイくんでしょ」
て言って、それからずっと息子のことを大くんって呼んでたのよ」