男装少女は好きですか?
美里とマサト
―――「ねぇねぇ、アイツ。また一人で本なんか読んでるよ」
「いつものことじゃん。あの根暗に近づく奴なんていないって!ほっとこーよ」
「…」
日射しが暖かい午後、私は毎日のように一人で過ごしていた。
上島 美里(カミシマ ミサト)、高校2年生。
学校では眼鏡をかけ、髪もおさげ、そして暗い雰囲気。
周りからみれば、地味で根暗な印象にしか見えないだろう。
仕方ない。だって、ここには勉強しに来てるだけ。第一、私と共通の趣味を持つ人もいないし。
え?私の趣味?アニメ鑑賞、グッズ集め等々…そう、私は二次元の世界にしか興味ない人間なんだ。
でも、最近は本当にそんな人が少なくなってきている。
今時、オタクなんて言ったら鼻で笑われるだけ…だからなるべく目立たないようにしてたら、こんな外見になってしまった。
自分をさらけ出せないんだ、学校じゃ。
…なんて、言い訳にしか聞こえないかもしれないけど。
私は読んでいた本を閉じ、教室を出て屋上へと足を運んだ。
ここはお気に入りだ。誰も来ないし、風は気持ちいいし。
一人になりたいときにはちょうどいい。うるさいクラスメイトもいないから。