EGOIST
『さて、こっからどうすっか!』
次の電車を待って、無事に乗れたとしても遅刻は免れない。
『今日も遅刻かぁ』
柚は諦めたようにポツリと溢した。
『俺なんか、そろそろ留年かもね』
『えぇ!? 何で平然としてるの!?』
柚さん、それはね……?
ニッと得意気な笑みを見せ、柚の手を引く。
行き先は駐輪場。
心から愛する、赤のビッグスクーターをポンポンと撫でてみせた。
『もしかして真紅のバイク?』
『遅刻対策で昨晩、運んできました!』
さすがに留年は嫌だもんね。
乗り遅れたら、こいつで一走りさ。
『で、でも大きなバイクって18歳からじゃ……』
『大型はね! これは中型だから16からOK。 学校付近まで乗ってく?』
ヘルメットを手渡され、何となく戸惑った様子の柚。
しばらくの時が経ち、俺はようやく柚の足元に気付いた。
『スカートが気になるなら俺のジャージ貸すよ?』
『……あ、ありがとう……』
女の子だもんな。
いきなり跨がるなんて無理に決まってるよな。
……つーか……
『あはははは!! だっせぇ!』
スカートの下に長ジャージを着た姿が、予想を遥かに超えた不自然さ。
死ぬほど笑わせてもらった。
『だってサイズ大きいんだもん!』
『柚が小さいんだって!』
地面に着かないように何度も折った足元が農家のおじさんのよう。
『もうっ! 遅刻しても知らないから!』
プンッとそっぽを向いて荷台に乗る柚。
『悪い悪い! んじゃ行きますか』
「悪い」なんて言いつつ、俺は笑いを堪えながらシートに跨がった。
走り出すバイクに怯えてるのか、力一杯に腰にしがみつく柚。
背中に感じる体温が、何故だか妙に安心した……
『ギリギリセーフ!』
始業5分前に学校に到着。
『バイクってあんなに早いんだねぇ! ビックリしちゃった』
『本当は60キロまでなんだけどね……』
苦笑しながら荷物を取り出す。
柚は不思議そうにしながらも荷物を受け取った。
『んじゃ、またな!』
『うん!! 涼ちゃんにもよろしくね!』
笑顔で手を振る柚に、俺はベーっと舌を出して「ヤダよ」と言って背を向けた…
次の電車を待って、無事に乗れたとしても遅刻は免れない。
『今日も遅刻かぁ』
柚は諦めたようにポツリと溢した。
『俺なんか、そろそろ留年かもね』
『えぇ!? 何で平然としてるの!?』
柚さん、それはね……?
ニッと得意気な笑みを見せ、柚の手を引く。
行き先は駐輪場。
心から愛する、赤のビッグスクーターをポンポンと撫でてみせた。
『もしかして真紅のバイク?』
『遅刻対策で昨晩、運んできました!』
さすがに留年は嫌だもんね。
乗り遅れたら、こいつで一走りさ。
『で、でも大きなバイクって18歳からじゃ……』
『大型はね! これは中型だから16からOK。 学校付近まで乗ってく?』
ヘルメットを手渡され、何となく戸惑った様子の柚。
しばらくの時が経ち、俺はようやく柚の足元に気付いた。
『スカートが気になるなら俺のジャージ貸すよ?』
『……あ、ありがとう……』
女の子だもんな。
いきなり跨がるなんて無理に決まってるよな。
……つーか……
『あはははは!! だっせぇ!』
スカートの下に長ジャージを着た姿が、予想を遥かに超えた不自然さ。
死ぬほど笑わせてもらった。
『だってサイズ大きいんだもん!』
『柚が小さいんだって!』
地面に着かないように何度も折った足元が農家のおじさんのよう。
『もうっ! 遅刻しても知らないから!』
プンッとそっぽを向いて荷台に乗る柚。
『悪い悪い! んじゃ行きますか』
「悪い」なんて言いつつ、俺は笑いを堪えながらシートに跨がった。
走り出すバイクに怯えてるのか、力一杯に腰にしがみつく柚。
背中に感じる体温が、何故だか妙に安心した……
『ギリギリセーフ!』
始業5分前に学校に到着。
『バイクってあんなに早いんだねぇ! ビックリしちゃった』
『本当は60キロまでなんだけどね……』
苦笑しながら荷物を取り出す。
柚は不思議そうにしながらも荷物を受け取った。
『んじゃ、またな!』
『うん!! 涼ちゃんにもよろしくね!』
笑顔で手を振る柚に、俺はベーっと舌を出して「ヤダよ」と言って背を向けた…