EGOIST
朝から財布は落とすし。
転げるし。

電車は1本乗り遅れるし。
遅れて乗った電車で痴漢を目撃しちゃうし!

本当に私って……

『ついてないんですよぉ~』

『だからと言って、遅刻していいとは限りません! 予測して早く家を出なさい!!』

……ごもっともです。


ココは職員室。

私は今、遅刻の理由を聞かれてました。

申し遅れました。
私、北川柚(キタガワ ユズ)です。

とにかく不運な高校生。

大好きなものはオムライス!

大好きな人は……

『ゆーずっ! お説教は終わったぁ?』

『多恵! 美里!!』

大好きな人は、この2人。

石橋多恵(イシバシ タエ)と岡辺美里(オカベ ミサト)。

多恵はちょいギャルだけど、すんごく可愛い女の子。

美里は美人で名前に「美」が入ってるだけあるぅ!って感じの子。

2人共、高校に入ってすぐに仲良くなったお友達。

本当に大好きで大切な人達なんだ。

『柚? 何でニヤニヤしてるの~??』

『えへへ、2人が迎えに来てくれたから!』

ギュッと2人の腕にしがみつき、頬を寄せる。


こんなついてない私が唯一、幸運だと思ったのは、2人と出会えた事。

私なんかと仲良くしてくれてるけど、2人は校内の有名人。

モデルのようにスレンダー美人の美里。
小悪魔カワイイ多恵。

そんな風に噂されてるみたい。


『二年生になって1ヵ月なのに、もう10回も遅刻してるよ~、私』

『ヤバイよ、それ! 3分の1じゃん!』

『大丈夫! ちゃんと理由があるんだもの』

多恵は、からかうように笑い。
美里は優しく撫でてくれる。

私は一人っ子だから本当は分からないけど、お姉ちゃんがいたらきっとこんな感じなんだろう。
いつもそう思う。


『それより多恵は~…… 柚が今朝、見たって言う痴漢の話が聞きたいなぁ?』

意地悪にヒヒッと笑う多恵。

……もうッ!!
エッチなんだから!

『じっくり見てないよ! 多恵みたいにエッチじゃないもん』

『え~? 人間は、みーんなエッチだよ?』

『……美里ッ! 帰りにアイス食べに行こ!』

いつもの調子の多恵を無視して、美里と歩き出す。

『ちょっとぉ~! 何で多恵を無視するの~?』

慌てて追い掛けてくる多恵。

『だって多恵の話はつまらないんだもん!』

『柚ひどッ!!』

こんなんでも、私達3人は凄く仲良しなのです。
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