EGOIST
教室に入り、ほっと一息。

戻ってきた携帯を開くと、リョウと2人でとったプリクラ。

笑顔で寄り添う形の2人。
これは付き合ってすぐの頃だ。

『わ、イケメ〜ン!』

横から覗き込むようにして、多恵が顔を出す。

『確か美里の彼氏だよね? 一回会った事あるよねー?』

『多恵と? 会ったかしら?』

覚えがないけど。

『ほら、前に偶然会ったじゃん! 美里と彼と……もう1人女の子いたよね』

……思い出した。
前にリョウと私と、私の親友……だった子と遊んだ時だ。

『地味な感じの子で、美里と並んで可哀想にって思ったもん』

多恵はしょんぼりとした様子で話す。

『馬鹿ね…… リサはそういう所が好かれる子なのよ』

素朴だけど、いつも笑顔を絶やさない。
いつだって、私を応援していた。

『リサには敵わないよ』

だけど私は駄目……

リサの気持ち、知ってるのに……
まだリョウを離せないでいる。

本当に駄目ね……

< 31 / 75 >

この作品をシェア

pagetop