EGOIST
『真紅、真紅、し~んく!』

明日の遊園地の為、足早に帰宅する俺の後ろから、涼が名前を呼びながら追いかけてきた。

『よかった、追いついて!』

『珍しいな、涼が早く帰るの』

『さすがに寝不足で遊園地はないでしょ』

ははっと苦笑する涼。

『明日の遊園地って、やっぱ2人ずつに別れるんだよな?』

俺はポケットから煙草を取り出し、火を着けた。
同じようにして涼も煙草を咥える。

『さぁね。 もしそうなら俺、柚ね』

『なッ…… 俺が柚とだろ!?』

『何で真紅が!? 俺に決まってんだろ?』

当初は仲良く帰る予定だったのに……
このクソ涼が変な事言い出すから……


しばらく睨み合い時間だけが過ぎていった。

そんな中、先に口を開いたのは俺だ。
少し妥協してやろうと思ったわけよ。

『ジャンケンで決めようや』

『……了解』

涼もニッと笑って応える。

『涼っ、後出しは無しな! 先出しはいいけど』

『バーカ、間違っても先には出さねぇよ!』

『そんじゃ……』

『ジャンケン……ポン!!』


こうして……
楽しい遠足(?)の前夜は過ぎていった……
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