EGOIST


『遅い……』

遊園地、正面ゲート。
もう5人揃ったと言うのに、あの人が来ない。

『どーする? 真紅の事だからいつ来るかわかんないけど』

涼ちゃんは携帯を開いて時刻を見る。
私は思わず溜め息が出てしまい、その携帯を裏からトントンと叩いた。

『私、待ってていい?』

『柚が?』

『だってせっかく来たのに待ちぼうけなんてつまんないよ!』

『じゃあ俺も待つよ』

涼ちゃんは携帯を閉じて言う。

『駄目! 涼ちゃん達は入って!』

『でも……『私、トイレ行きたいし!』

『……は?』

多恵があんなに楽しみにしてたんだもん。
涼ちゃんがいなきゃ何の意味もないよ。

『草むらでするんだからッ! 涼ちゃん達がいると困る!』

ちょっと言い訳が苦しいかもだけど、こんくらいしなきゃ皆動きそうもないし。


『……わかった。 俺と真紅の携番教えるから何かあったら、すぐ電話して』

『うんっ! 真紅に会えたらすぐに連絡するね』

ほっと一安心。
ようやく笑顔で4人に手を振る事が出来た。

さて……
本当にトイレでも行っとくか。

あ、草むらじゃないからね?
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