EGOIST
4人が入っていってから30分。

ようやく真紅は姿を現した。

『悪い!! 出掛けに手間取って!』

大慌てで走ってくる真紅。

『私、40分くらい待ってたんだよ?』

そんな彼を睨む。

『電話しても出ないし!』

『あー…… あの番号、柚なんだ……』

私だって、今日の事楽しみにしてたのに!

『本当にごめんね? お詫びに甘い物でも食べよ?』

眉尻を下げ、申し訳なさそうにする姿は少し可愛い。

そんな事されたら、あまり怒れないよ。
真紅は狡いなぁ……

『もういいから行こ! 絶叫が制覇出来なくなっちゃう』

『……うん!』

許された事が相当嬉しいのか、ニコニコと笑いながら、さりげなく私の手を取り、自分の手に絡ませてきた。

『し、真紅ッ!』

『恋人繋ぎって初めて』

その言葉に驚いて顔を上げる。
視界に入ったのは真紅の意地悪な笑顔。

『……って言ったら、柚がどんな反応するか見たかった!』

『な……ッ』

何て意地悪なの!?

ぷぅっと頬を膨らませて睨みつける。
そんな私の頬を真紅は人差し指で突いた。

『そんな顔してると噛み付くよ?』

『……ヤダ』

意地悪、意地悪!

照れて緩んだ顔に気づかれたくなくて、私はずっと拗ねたふりして、そっぽを向いていた……
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