EGOIST
さすが日曜日。
園内は人混みでいっぱい。

『とりあえず凍司を探すか』

『凍司くん?』

『ん、ちょっと訳ありでね』

真紅は苦笑すると私の手を握り直し、歩きだした。

スーツも制服も似合ってたけど、ラフな私服も格好いいなぁ……

すれ違う女の子達が真紅を振り返ってるよ?

『あ、いたいた』

比較的、入口に近い所のベンチで休んでいる美里と凍司くん。

『よ、ジェットコースターは楽しめたか?』

真紅は凍司くんの頭をギューっと締めるように抱えた。

『し、真紅くん! 凍司くん今は……』

そんな真紅を慌てて止める美里。

よく見れば、凍司くんな顔色が少し悪い。
もしかして人混みに酔っちゃったのかな?

『柚が心配する事ないよ。 凍司、絶叫系が一切駄目なんだよね』

『余計な事言うな、真紅』

『阿呆か。 強がってないで穏やかなのに付き合ってもらえ』

とか何とか言って、真っ先に凍司くんを探したじゃん。
上手く隠そうとしてるけど、隠れてないよ?

真紅の優しさ……


『さて、俺達は絶叫を制覇しに行くぞ~!』

『さんせーい!』

そんな真紅、私ちょっと好きなんだよね……
< 50 / 75 >

この作品をシェア

pagetop