EGOIST
絶叫制覇を目指して、園内を足早に進んだ。

『あ~、楽しかった!』

『でも私、まだ足が震えてるよ!』

少しの休憩がてらに乗った観覧車で、真紅と2人で笑い合った。

2人ずつ別れるって聞いた時は不安だったけど、真紅がペアで良かったなぁ……

目の前の真紅の笑顔を見ながら、そう思った。


『あ、真紅! 今てっぺんだよ!』

観覧車から見える景色は、模型の町みたいに小さくて可愛い。

『あ、あれきっと私のマンションだ!』

遠くに見える白いマンションを指差す。

『昔は涼ちゃんも住んでたんだよ』

『へぇ……』

『今はどこに住んでるのかなぁ? 後で聞いてみようかな』

近いと嬉しいんだけどな。

と、急に観覧車が揺れた。
真紅が隣に移動してきたからだ。

『え、何!?』

体が近い。
何だか恥ずかしいよ?

『俺の家、あそこ』

『そ、そうなんだ! あ、涼ちゃんの家は?』

照れ隠しも含め、そう言って振り返る。

そんな私の目に映ったのは、不機嫌そうに髪をかき上げる真紅だった。

『な、何か怒ってる?』

『別に?』

お、思い切り不機嫌そうですけど……
だけど理由も思い付かない。

『ご、ごめんね? 私、馬鹿だから知らないうちに何かしたかな……』

真紅の腕を掴んで、うかがうように見る。

その瞬間だった。

『……ッ』

生暖かい感触が唇に触れたのは……

な、な、何!?
何でいきなり!?

『これで許してやるよ』

『え……?』

何が起こったのか、頭が追い付かない。

『こんな場面で涼の話題出さないでよ』

『……な……何で……?』

『本当妬けるから』

真紅は、私の事を好きだからキスしたのだろうか。
それとも、こんなの挨拶みたいなもの?

『そ……そうゆう事は、好きな人にしかしちゃ駄目だよ……』

私にはわからない……

『そう言われると、何気に傷付くんだけどね?』

真紅はハァと溜め息をついて外を見る。

だって、本当にわからないんだもん……
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