EGOIST
『ぁぁあああ――!!!!』

空は快晴、ジェットコースターは青い空へと近づいていく。

『涼っ! まだ半分しか上ってないよ?』

隣の座席に座る涼を落ち着かせようと声を掛ける。

『駄目ッ! マジで死ぬ!!』

なるべく下を見ないようにして深く座り直してる。

『もう、情けないんだから』

後ろの美里も呆れたように溜め息を吐いた。

『てめッ! 手ぇ放してんじゃねーよ!!』

『私が手を離したって貴方に迷惑かけてないでしょ?』

『下る時に落ちたらどうすんだよ!』

『……涼』

ジェットコースターの安全性、そんなに低くないと思うんだけどなぁ……

『下る時は手を上げるんだょ~、皆!』

『は!!?』

『だから涼も上げようようねっ』

私はニコッと笑顔を見せて涼の手を掴む。

そして……

ジェットコースターからガコンと音がして頂上で停止した。

ついにこの瞬間が……

『うッ……わああぁぁ―!!!』

涼の声は誰よりも響き、ありんこのように小さく見える人たちが、見上げるようにこちらに視線を送った。
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