EGOIST
『ハァハァ…ッ やっばぁ! お化け役の人、殴っちゃった!』

『あはははは!』

『多恵、絶対に怒られる~!!』

『ちょ、腹痛いから!! 待って!』

オロオロする私の目の前でお腹を抱えて笑う涼。

ひ、酷い!!


『よう、楽しそうだね』

そんな私達の前に現れたのは……

『あ、真紅じゃん! 聞いてよ。 多恵のやつそこのお化け屋敷で……』

『つか、顔くらい見て殴ってほしいねぇ』

……え?

不思議に思い真紅くんの顔を見上げると少し頬が……

『赤い』

まさか……

『俺としては2人を盛り上げる親切だと思ったのに、お礼がパンチだもんなぁ』

『そ、そういうの余計なお世話って言うんだよ~!!』

死ぬかと思ったんだから!

『でも計画はおチビが立てたんだけど』

そう言いながら真紅くんの見た先にはエヘヘと笑う柚が。

『2人がもっと仲良しになったらいいなぁ~って思ったの!』

『柚……』

空気読んでよ……


『それより夕飯どうする? 凍司達呼んで合流する?』

真紅くんは辺りを見回して言う。

『そうだな。 そろそろ帰らないと仕事もあるしな』

涼も腕時計を確認して言う。

『んじゃ合流して外で飯食うか』

名残惜しさを残し、私達は退場門へと向かった……
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