EGOIST

RYOU

『あ~……眠い』

真紅は今にも寝てしまいそうな顔でスーツに着替える。

『凍司先輩、休みだってさ』

俺が言うと、さらに疲れ果てた顔を見せる。

『ぜってぇ休むと思った。 俺達より歳くってるからな』

……一個だけな。

遊園地から帰ったその足で仕事に向かった俺達は勿論一睡もしていない。
そのため眠気は限界に達していた。

『客とホテル行ったら?』

着替え終わると真紅に言った。

『は? 俺が枕営業、嫌ってんの知ってて言ってる?』

『冗談だろ? ムキになるなよ。 ある時から枕営業やめたって有名だろ』

『……怒ってねーよ』

『何で? 情が移るから?』

試すように言うが、真紅は目を伏せたまま答えない。

いつもの事だけどね。

『まぁ、いいや。 気になるわけじゃないし』

『なら聞くなよ……』

俺の返事に真紅はほっとしたように笑い休憩室から出ていった。


……友達……だと思ってんだけどね。
お互い秘密主義には悲しくなるな。


真紅に続いてお店に出ると店内は早くも賑わい出していた……
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