EGOIST
電車に揺られ、リョウ達と待ち合わせしている公園へ。
ここは私達が生まれ育った町でもあるし、よく語り合った公園でもある。

『お待たせ』

リョウもリサも先に到着していた。

『ごめんね、呼び出したりして』

『ううん、この公園懐かしいね』

少しぎこちなくリサが笑う。

『よく喋ったよな、ここで』

そしてリョウも。

きっと責められると思っているんだろう。
勇気を出して来てくれたんだなぁ……

何だかそれで十分な気がする。

『リョウ、あのさ……』

あとは私の勇気。

『私達、別れよう……?』

『え……?』

もう恋人ではいられない。
嫌いになったわけじゃないけど。

『やっぱ学校違うと難しいし』

『美里……』

何年先か、もしかしたら数ヶ月後か。
二人の話を笑って聞ける日が来たら、すごく嬉しい。

『それにさ、好きな人できたのよね』

リョウは顔を歪めて声にならないようだった。

『だからさ、二人で幸せになってよ! 私も幸せになるから』

隣に立つ涼の服の裾を掴む。
こうしたら、きっと二人は安心できる。

きっと涼はそのために来てくれたんだね……

『リサ。 今度会う時は私の恋愛相談聞いてよね?』

不器用な優しさ……
不器用な私にぴったりだわ……
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