EGOIST
柚が楽しそうに弟達と遊ぶ。
誰もが満面の笑みを浮かべる。
そんな景色をどのくらいの時間見ていたんだろう。
気が付けば俺は、夢の中にいた。
『勝手に食材使ってごめんね? 気持ちよさそうに寝てたから起こしたくなくて』
時刻は7時。
良い香りで目が覚めた。
『いや、助かる。 ってか柚こそ帰らなくて怒られない?』
って、俺が寝てたからか。
チビ達ほかって帰れないしな……
『……私、一人で暮らしてるから』
『え?』
『両親もう亡くなっちゃったから』
少し無理した笑顔。
きっと誰にも言いたくなかったはずだ。
『ハンバーグ、一応得意料理なの。 真紅も食べてね』
柚はそう言うと鞄を手にして足早に去ろうとする。
『待って、柚』
それを制するように細い手首を掴んだ。
『一緒に食べよう。 帰りは送るから』
『……私、寂しくないよ?』
『違……っ』
別に同情してるわけじゃない。
可哀想とか思ってない。
『俺、包丁の音が心地よかった。 目が覚めて美味しい匂いが嬉しかった』
久しぶりに幸せだと思った。
『なのにいざ食べる食卓に、柚がいないの寂しいよ』
だからこれは俺のエゴだ。
『ありがとう』
泣いたように笑う。
その姿が余計に小さく見えて、思い切り腕の中に閉じ込めた……
誰もが満面の笑みを浮かべる。
そんな景色をどのくらいの時間見ていたんだろう。
気が付けば俺は、夢の中にいた。
『勝手に食材使ってごめんね? 気持ちよさそうに寝てたから起こしたくなくて』
時刻は7時。
良い香りで目が覚めた。
『いや、助かる。 ってか柚こそ帰らなくて怒られない?』
って、俺が寝てたからか。
チビ達ほかって帰れないしな……
『……私、一人で暮らしてるから』
『え?』
『両親もう亡くなっちゃったから』
少し無理した笑顔。
きっと誰にも言いたくなかったはずだ。
『ハンバーグ、一応得意料理なの。 真紅も食べてね』
柚はそう言うと鞄を手にして足早に去ろうとする。
『待って、柚』
それを制するように細い手首を掴んだ。
『一緒に食べよう。 帰りは送るから』
『……私、寂しくないよ?』
『違……っ』
別に同情してるわけじゃない。
可哀想とか思ってない。
『俺、包丁の音が心地よかった。 目が覚めて美味しい匂いが嬉しかった』
久しぶりに幸せだと思った。
『なのにいざ食べる食卓に、柚がいないの寂しいよ』
だからこれは俺のエゴだ。
『ありがとう』
泣いたように笑う。
その姿が余計に小さく見えて、思い切り腕の中に閉じ込めた……