糖度∞%の愛【改訂版】
糖度30%
……やっぱり。
こうなることは、予想していた。
それでも実際にやれると、結構クるものがある。
「なになに? “ブス”に“さっさと別れろ”に“オバサン”?」
「っ!!」
どこから現れたのか、いつの間にか背後に真帆がいた。私の手の中にあったメモ用紙を覗き込んで、何でもない事の様に読み上げる。しかも完全に面白がっている。
思わず身体を反らして驚いた私に、「隠したいならロッカーでぼうっと立ってるんじゃないわよ」と、当然の指摘。
そうよね。確かに無防備にこんなところで、ロッカーの中に張り付けられていたメモを見ていた私が……、悪いのか?
「……勝手に見る方も見る方だと思うんだけど」
しっくりこなくて真帆に言い返すけど、「そりゃそうね」とあっさり認められてしまう。なんだか私がしてやられたみたいで、スッキリしない。
「でも、間違っても沙織はブスじゃないから、そこは自信持っていいんじゃない?」
私の隣のロッカーを開けて、中からポーチを取り出した真帆が、にやりと笑ってフォローらしき言葉をくれた。
私たちの会社は、ロッカーに鍵がついていない。
そのかわり、ロッカー室の中には監視カメラがある。もしなにか事件があれば、その映像が証拠となるのだ。
でも、こういういじめというか、性質の悪い嫌がらせでも、その映像の開示は可能なんだろうか。そんなどうでもいいことを考えてしまう。