糖度∞%の愛【改訂版】
私が抱える秘密、それが“IDDM”。
“見えない病気”だ。そして“原因不明”で“治らない病気”でもある。
日本語で言えば“Ⅰ型糖尿病”。最初に切りだす時に、日本語ではなく、あえて略された“IDDM”を使うのはわざとだ。“糖尿病”という名前がつくだけで、先入観を与えてしまうから。
Ⅰ型糖尿病は、世間でよく知られている糖尿病とは違う。食べ過ぎや運動不足からくる糖尿病じゃない。それは“Ⅱ型糖尿病”に分類される。Ⅱ型にも遺伝的なものでなってしまう人もいるみたいだけれど、Ⅰ型は原因が不明だ。
突然、膵臓の中の糖を分解するインスリンがなくなってしまうのだ。何か前兆があるわけでもない。ある日突然なってしまう、未だ原因が明確に解明されていない病気だ。
外国ではよく知られているこの病気も、まだ日本では知名度が低い。そして、“糖尿病”というその名称から、成人病と呼ばれる“Ⅱ型糖尿病”と混同されることが多い。
飲み薬は効かない。治ることもない。
ずっとインスリンを打って生きていかなきゃいけない。
毎食前と寝る前のインスリン注射は勿論、定期的に病院に行かなくちゃいけないし。低血糖にならないように自己管理も徹底しなくちゃいけない。
万が一、低血糖症状を起こしてしまったとき、自分でなにもできない状況まで陥ってしまったら、周りに応急処置を頼まなくてはいけないのだ。
だからこそ、家族や周りの理解も必要になる。