糖度∞%の愛【改訂版】
その矛盾の示している答えが、一向にわからない。分からないから怖くて、怖いからこそ知りたくない。
私はこうなった今でも彼方が大好きで。彼方の傍にいられなくなることが、怖くて仕方ないんだから。だからこそ、確かめる勇気すら持てない。
本当に、今までの自分じゃないみたいで自分で自分を持て余している状態だ。
「あの子、受付嬢らしいよ」
「え?」
「五月女と同期入社の受付嬢。可愛い容姿で結構な人気があるらしいけど、あの子が五月女狙いだっていうのは、同期の中では有名な話らしい」
スラスラと彼女のデータを言う様子を、唖然としながら見つめる。
そんな情報、誰から聞き出したの。
……なんて、怖くて聞けない。
「もしかしたら、あの幼稚な嫌がらせの犯人、あの子だったりして」
「否定できないけど、肯定できる証拠もないよ」
「そうだけどさ。あれだけ沙織一筋なあの男が、急にあの子を近づけさせてるなんて、理由がそれくらいしか考えられないんだけど」
「それでも、……それでも、どんな理由があっても私は、彼方の傍に他の誰かがいるのは嫌だなぁ」
そんな心の狭いことを考えている、独占欲の塊みたいな私。
こんな私みたいな彼女じゃ、彼方も愛想を尽かせてしまうだろうか。