糖度∞%の愛【改訂版】
元彼たちがやけに女友達と一緒にいたのは、私にも嫉妬してほしかったからなのかもしれない。別れを告げられてきたのは、病気を打ち明けたせいだと思っていたけれど、病気が全てじゃなかったのかもしれない。
私に“好き”という気持ちが伝わらないことが嫌で。
私からの“好き”という感情が伝わってこないことが嫌だったのかもしれない。
今となってはその真相は分からないけれど。
自分が“本気の恋”をしてやっと、過去の相手の気持ちを理解するだなんて、最低だ。
だからきっと彼方もこんな私に……。
「おーい」
真帆にそう呼びかけられて、ハッと意識を戻せば、目の前でヒラヒラと綺麗な手が上下に振られていた。
こうされていることに今まで気づかなかったほど、自分の世界に入っていたようだ。
それだけじゃなくて、なんだか頭がぼうっとしてしまう。覚えのある感覚だ。
血糖値が下がっているのかもしれない。
もう9時を回っている。お昼を食べたのが遅くなったからと、油断していた。
そろそろご飯を食べて血糖値をあげなくちゃ。そうじゃなくても何か甘いものを少しでいいから口に入れないと。
そうは思うのに、行動に移すことも手足を動かすのも億劫で行動に移せない。
「逃げるのもいいけど、向き合ってこそ女じゃない?」
ぼうっとしているところにガツンと一発かまされて、想像以上のダメージを受ける。
それは自分でもずっと思っていたことだ。
逃げていても、この状況はどうにもならない。むしろ余計に彼方を失うんじゃないかっていう恐怖が増すばかりだ。頭ではちゃんと向き合わなくちゃいけないと思っていた。
それでも、それは彼方をその瞬間に失うかもしれないことを示唆していて、どうしても二の足を踏んでいた。