ゴッドネス・ティア
「知ってるよ、それくらい…。ただ、信じられなかっただけ。だから、こちらの女性、実は3桁のお歳なんでしょ?」



少女ではなく、女性、という単語に少女は、まあっ!と嬉しそうに顔を綻ばせる。後の失礼発言は無視して。



「知ってるなら初めから疑問を口に出すな。まぎらわしい」


「いいじゃないのよ。信じられなかったんだから」



二人の睨み合いが続き、一瞬にして、静かになった。

華蓮とル・メイの間に冷たい空気が通り抜ける。

少女は寒気を催し、小さなくしゃみを続けて2回 した。



「……あんた等、そんな張り詰めた冷たい空気出されると風邪ひくんだけど」



空気をなるべく気温上昇させる為に、少女は気まずい中、口を開いた。



「で、聞きたかったんだけど、あんた等ここ、『魔女の村』に何しに来たの?」



話をそらそうと、話題を変えた。

その少女の言葉にハッと我に帰る華蓮。

微妙に気が利く少女だ。



「そうだ、それが先だ!…えーっと…おまえ!『メルスの墓』がどこにあるか知ってるか?」


「………サロナ」


「……は?」



早口でまくし立てる華蓮を見据えて、少女は特徴のある笑みを浮かべた。



「サロナだよ、サロナ・ダーク。あたしの名前」


サロナと名乗った少女は悪戯そうに軽く舌を出した。


「…じゃあサロナ、『メルスの墓』はどこにある?」


「『メルスの墓』なら村を出たところの森の奥だよ」


すると間髪なく、サロナは平然と森の方向を指差した。


「……え?そんなあっさりでいいの?」


絶対に、石は渡さない!!とでも言われて止められると思い、強行突破の覚悟をしていた華蓮は目を見開いた。


「だって用事があるんだろ?」


「まあ、そうだけど…」


「でも、あの森は最近恐ろしい魔物が出るって噂があるんだよ。確か…風を操るって…こっちの者にも被害が出ててさあ…、危ないよ?」


何かを含んだ目で怪しく笑む。


「ま、魔物…?」


サロナの言葉に華蓮の背後から震える声がした。

ル・メイがベットの隅で青くなり、小刻みに震えている。


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