ゴッドネス・ティア
今は風一つないのに草村が一人でに動くのはおかしい。

なにか潜んでいるはずだと考えたスノーリアは剣を抜いて、ソロリソロリと草村に近寄った。


警戒しながら草村を覗いてみる。



「………」


「…魔物なのか?」



スノーリアの影に隠れながらついてきたレオナも覗いてみる。



「…大丈夫だ。危険はない」



後ろのヒサノ、アランを安心させるため、二人を振り返り、スノーリアは剣をしまった。

未だ草村を覗き込んでいるレオナは顔をしかめてしゃがみ込んだ。



「……人じゃん」



草村にいたのは、数名の…いや、三人のエルフが、無造作に倒れていた。

見たところ全員女。



「山賊にでも襲われたのかな…」



擦り傷、切り傷の絶えない三人の女達の首筋に一人一人手をあてる。



「…何をしている?」



レオナの行動を不思議そうに見下ろすスノーリアが顔をしかめて聞いてきた。



「あー…脈を確かめてんだよ。パオーレにいたときその村の医者に教えてもらった。…あ、生きてるな、こいつら」



生死を確認したレオナは、無造作に倒れている体をなるべく楽な姿勢に直していく。



「にしても、なんでこいつらぶっ倒れてんだろうな…。攻撃されたかんじもねぇし。ん〜外傷からすると、…落ちてきたみたいな?」



三人の額に手をあて、骨折や捻挫がないか確かめる。

体のあちこちに痣などがあるが、たいした怪我はないようだ。



「頭打ったんだろうな、死にゃぁしねーよ」



ホッと安堵の息をつき、傍にいる橙頭の女の髪をクシャクシャに撫でる。













「……似ているな…」



レオナの行動を目を細くして見ていたスノーリアはポツリと呟いた。



「…?なんか言ったか?」


「…いや、なんでもない」



意味深な言葉を残して、スノーリアは口を閉じた。



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