ゴッドネス・ティア

「アラン・クリスティン…？誰ですか、そいつは」



凍るような冷たい視線を落としてくる少女。


視線も痛いが、腕の方が遥かに痛かった。



「僕の…っ名前、だよ…っ」



「……ふぅん…」



「…ぃたっ！は、離してっお願いだからっ！！」



自然に涙が零れてきた。


こんな歳にもなって痛みで泣くなんて情けない…と、自分を叱りながらも涙は止まらなかった。


そんな時…













「シャラン〜〜っ、目覚めたんだね！！」


救いの女神が現れた。




「リュンマさん…」



この状況に不釣り合いな柔らかい声に、シャランと呼ばれた少女は力をふ、と緩めた。


その瞬間を見逃さず、アランはパッとシャランの腕を振り払う。


掴まれていた所が痛々しく手形のアザになっており、顔を歪めた。



「あれぇ、二人共何してたの？」



シャランの隙を作ってくれた救いの女神はかわいらしく首を傾げる。



「なんでもありません」



「えっ、なんでもなくないでしょ？！僕のこのアザはどうなるのさ！！」



シラッと答えたシャランに不満の声をあげるが、彼女の一睨みでそれ以上の言葉を発することはなかった。



「ところでリュンマさん、この状況どうしたものですか？」



「あ、そうそう、あのねぇ、リュンマ達ったらムンマに蹴り飛ばされたでしょ〜？
それでねぇ、ここで気絶してたみたいなの〜、そこをこちらの親切な方々に助けていただいてね〜、今仲良く雑談中〜！！」



こちらの方々…、レオナ達を振り返ってニッコリ微笑み、一緒に話そうとでも言うようにシャランの手をとるリュンマ。



「そ、そうだったんですか…、それは失礼いたしました…」



やっと事情を把握したシャランが、罰が悪そうに顔を歪めた。


反省しているのか、シュン…と肩を落として深々と頭を下げてきた。


さっきまでの態度とのえらい違いにビビりながらも、こちらこそ、と頭を下げるアラン。