ゴッドネス・ティア
「そうだね、魔物が出て来たら嫌だし、んじゃ取りまーす。
メルス様ごめんなさい…」



申し訳なさそうに、だが堂々と涙の石を取ろうとした。


だが、



ジュッ!!



「ぅあっちっ!!!」



何かが焦げるような鈍い音がした直後、ル・メイが反射的に手を引っ込めた。



「どうしたル・メイ?!」



「なんかめっちゃ熱かった!たぶん結界だよっ!」



少し火傷したような指を抑えて顔をしかめる。



「結界?!くそ、先を超されていたのか?!」



ファン様から国王騎士に、巫女一行に同行せよと命がくだったとき、敵が出たとかいう連絡をうけたから気をつけろ、みたいなことを通信機を通じて言われたような気がする。



「フフフ……」



ふと、声が聞こえた。


頭がおかしいんじゃないかと思うような、不気味な声。



「誰だ、出てこい!!」



姿を現さない不気味な声の持ち主に叫ぶ。



「じゃぁ、遠慮なく…」



ポツリと笑いの混じった声で呟くと、スッと風を斬るような音がした。


動いたな、と思った瞬間…



「遅いよ」



その声と共に華蓮は背中に熱い刺激を感じた。



「ぁああああぁぁあ!!」



数秒もしないうちに切られた、と確信。


背中は深く、ザックリと切られ、夥しい量の血が吹きでる。



「華蓮ちゃんっ、大丈夫?!」



目の端でル・メイが真っ青になって駆け寄ってくるのが見えたが、大丈夫なわけない。


そして、華蓮の背中を見て青い顔を更に歪める。



「華蓮ちゃん、背中が…」



「構うな、あいつはどこだ!」





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