ゴッドネス・ティア
またル・メイの針がとんできて、スーは舌打ちして避ける。


いいところを邪魔され、腹がたったのか、スーの微笑みは不気味に歪んでいった。



「華蓮ちゃん大丈夫?!
血だらけだよっもうやめ…」



「黙れっ!」



自分の血で真っ赤に染まった華蓮を見るに見かねたル・メイが走り寄ろうとした。


だが、華蓮にギロリと睨まれて、言われたとおりに口を閉じる。


華蓮はあんなにボロボロなのに、何もできない自分が情けない、と唇を血がでるほど噛み締めた。



「本当に気の強い…だが、次で泣くことになるよ…」



「泣かねぇよっ!ばぁーか!」



まだ意地をはる華蓮を面白そうに見て微笑みながら、華蓮を挑発するスー。


それに華蓮は子供っぽく言い返した。



「ふん、それは楽しみだ」



スーはまた華蓮に向かって駆け出した。


華蓮は身を構えて剣を祈るように握り直す。


だが、また立ちくらみがした。


目が、かすむ…


そんなことを考えているうちにもスーは距離を縮めてくる。


華蓮も意を決して、接近したスーに剣を振り落とした。


今ある、精一杯の力のつもりだ。


動くたびに背中、肩から血が吹いて体が冷めていくのを感じる。


ここで死ねわけにはいかないんだ。


だが、精一杯でも、


今の華蓮では、ムリだった。


スーの速さでは華蓮の速さなどアリみたいなものだろう。


当然かわされた。



「背中がガラ空きだよ」



紫の影が華蓮の横をとてつもない速さで横切った。




< 125 / 506 >

この作品をシェア

pagetop