ゴッドネス・ティア
スーは華蓮の背後に回り込み、自分の速さについていけてない華蓮を鼻で笑う。


華蓮がやっと反応すると、華蓮が振り返ったと同時に素早く手を動かした。


華蓮の深く、痛々しい傷にその長い爪を…


突っ込んだ。



「あぁああぁああ!!」



突っ込んだ爪を瞬時にえぐり、荒く指を抜く。


途端、耐え切れなくなった華蓮は崩れ落ちた。


それほど激しい痛みだったのか、肩を痙攣させたまま動かない。


スーは満足に微笑むと、自分の指に絡んだ華蓮の生暖かい血を綺麗に舐めとる。


気持ち悪い…


なんだこいつ…


自分の血を綺麗に舐めているスーにぞっとした。



「華蓮ちゃんっ!」



こんどこそヤバイ、とル・メイは華蓮に駆け寄りながらスーに飛び道具で攻撃する。


ヒョイと首だけで避けられた。


悔しい。


国王騎士の自分の力がここまで及ばないなんて…


悲しさを通り越して呆れてしまう。



「よし、まあ遊びはここまでとして…
そろそろ終わりにしましょうか」



また不気味に微笑み見せるスーを睨むが、華蓮はどんなに睨んでも勝てるような気がしなかった。


終わり、それは何を意味するかわかる。


死――だ。


だけど、動けない。


痛くて、苦しくて、体が言うことをきかないんだ…


オレもここで終わり、か――…


目の端でル・メイが血相を変えて走ってくるのが見える。


だが、もう遅い。


スーは、華蓮が手放した剣をとり、華蓮の首筋にあてた。


決まりだ、死へのカウントダウン。


スーはにんまり怪しく笑って



「バイバイ、華蓮ちゃん」



剣を華蓮へ振り下ろした。





「華蓮ちゃんーーー!」











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