ゴッドネス・ティア
「どうするもこうするも、他ルートを探すしかなかろう」



深く溜息をつくスノーリア。


物凄いめんどくさそう。



「どうしてこんなことに…」



あまりにショックなのか、ヒサノは震える唇を手で抑える。



「ぁ…ムンマが橋に上がったら落ちちゃって…、
あの…ごめんなさい、リュンマのせいなの。
リュンマがムンマを太らせちゃったから…」



感動の再会を果たして、リュンマはムンマから離れようとしない。


一方のムンマはちょっとうざそうに顔をしかめている。


きっとムンマが、
かわいくて、かわいくて、かわいくて、かわいくて


エサを与え過ぎてしまったんだな。



「スノーリア…別ルートったって、どうすんだよ?」



「…私が魔女の村への別ルートを知っている。
置いて行かれたくなければ、その馬車を貸せ」



馬車があれば大分旅が楽になる。


徒歩と馬車では大きな違いだ。


疲労は回復出来るし、寒い外で寝ることもない。



「いいだろう…だが、私達を置いて行くなよ。
私達はおまえらの護衛役なのだから」



「承知している」



堅苦しい同士の話が終わると、ムンマを安全な場所へ移した。



「では、まずケルサニオスへ戻ろう国王騎士はそこの辺りで休養するなり、買い物するなり好きにすればいい」



これはスノーリアなりの優しさだった。


国王騎士はただでさえ忙しい、そして今はムンマに蹴飛ばされ、治療は行ったが休養はしっかりとれていないだろう。


国王騎士にとってはありがたい一言だった。



「…恩に着る」



香月は小さく微笑んで、馬車へ乗り込んだ。


続いてリュンマ、ヒサノ、アランと続く。


レオナも馬車へ乗り込んだ。



「スノーリアって意外と優しいんだな」



「…どこがだ?」



レオナの微失礼発言にスノーリアは首を傾げて乗り込んだ。


レオナは小さく声をあげて笑う。






そして新たな仲間達を加えた一行は、ゆっくりとケルサニオスへの道を戻って行った。









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