ゴッドネス・ティア
ガタンッ…ゴトンッ…



「揺れるねーこれは酔っちゃうよ。………あらーレオナはすでに馬車酔い?」


「うるせぇ〜…」



砂利道で激しく揺れ、レオナは吐き気を抑えながらもリュンマを睨んだ。

ただでさえ馬車に慣れていないから、なおさらだ。



「リュンマ達はもうなれたもーん。ね!香月っ」


「ぐ〜〜ぅっ」


「ほら、香月も大丈夫だって!」


「いや、言ってねぇだろ…ぉぇ…」



今までのいろいろな疲れがたまっているのか、香月は昼間だというのに爆睡していた。



「おぇ…マジやべぇマジやべぇ……」


「………バケツいりますか?」



いつでもどこでも冷静な判断を下すシャランはサッと目にも留まらぬ速さでバケツを取り出した。

いったいどこから出したのやら。



「そ、その辺おいといてくれぇ…」


「わかりました。
……………香月さん爆睡してますね、疲れてるのでしょう」



その辺では絶対ないレオナから一番遠い、ある一角にバケツをおき、爆睡してリュンマの肩に倒れかかっている香月へ視線を移す。


本人は重いはずなのに嫌な顔せず、嬉しそうにニコニコと香月の頭をいい子いい子と撫で、擦り寄った。



「香月はねー、しっかり者だからいっつも頑張ってリーダーやってくれるんだけどリュンマ達全く言うこと聞かないから疲れてるんだよ!」


「さりげに、達をつけるのはやめてください。
言うことを聞かないのはリュンマさんだけでしょう」



自分の発言の後に付け加えられたシャランの修正をアッサリ無視して、バシリといい音を起て、橙の頭を叩くリュンマ。



「…ぐー……………リュンマ殺すぞ?」


「ぎゃっ香月起きてたの?!ごめんなさーいっ!」



寝起きのような低い声にリュンマは小さい悲鳴を上げた。

直ぐさま許しを請うべく頭を下げる。




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